主要な学術会議・ジャーナル
本書を読み終えたあとも、ぜひ最新の研究動向に触れていただきたいです。ここでは、本書の枠組みに関連する主要な学会・会議・ジャーナルをまとめました。気になる名前があれば、その入り口から芋づる式に研究の地図を広げてみてください。
主要国際会議
Artificial Intelligence in Education (AIED)
- 概要:AI in Education の代表的な国際会議です。ITS から Learning Analytics、Educational Data Mining まで幅広いトピックをカバーします。
- 開催:年1回、世界各地で開催されます。
- URL:https://iaied.org/
- 採択率:フルペーパーで概ね25〜30%程度です。
International Conference on Intelligent Tutoring Systems (ITS)
- 概要:知的個別指導システムに特化した会議です。モデルトレーシング、学習者モデリング、適応的支援などが主なトピックになります。
- 開催:隔年で開催されます。
- URL:https://its-conference.com/
Learning Analytics & Knowledge (LAK)
- 概要:Learning Analytics の主要会議です。学習データの分析、可視化、実践応用が中心になります。
- 開催:年1回開催されます。
- URL:https://www.solaresearch.org/events/lak/
Educational Data Mining (EDM)
- 概要:教育データマイニングに特化した会議です。機械学習やデータマイニング手法の教育応用が扱われます。
- 開催:年1回開催されます。
- URL:https://educationaldatamining.org/
International Conference of the Learning Sciences (ICLS)
- 概要:学習科学の主要会議です。認知科学、教育学、技術の統合的なテーマが中心になります。
- 開催:隔年で開催されます。
- URL:https://www.isls.org/conferences
その他の重要会議
- CHI (Conference on Human Factors in Computing Systems):HCI 全般を扱う旗艦会議で、学習インタフェース関連の研究も発表されます。
- CSCL (Computer-Supported Collaborative Learning):協調学習支援を専門に扱う会議です。
- EC-TEL (European Conference on Technology Enhanced Learning):欧州を中心としたテクノロジー拡張学習の会議です。
- L@S (Learning at Scale):MOOC など大規模学習環境を扱う会議です。
主要学術ジャーナル
International Journal of Artificial Intelligence in Education (IJAIED)
- 出版社:Springer
- URL:https://link.springer.com/journal/40593
- 特徴:AIED の代表的なジャーナルで、理論と実践の両方をカバーしています。
Journal of Learning Analytics (JLA)
- 出版社:Society for Learning Analytics Research (SoLAR)
- アクセス:オープンアクセスです。
- URL:https://learning-analytics.info/
- 特徴:Learning Analytics の専門誌で、実践的研究を重視しています。
Journal of the Learning Sciences
- 出版社:Taylor & Francis
- URL:https://www.tandfonline.com/toc/hlns20/current
- 特徴:学習科学の理論と実践を扱います。デザイン研究の論文が多めです。
Computers & Education
- 出版社:Elsevier
- URL:https://www.journals.elsevier.com/computers-and-education
- 特徴:教育技術全般を広くカバーし、実証的研究を重視しています。
その他の重要ジャーナル
- British Journal of Educational Technology (BJET)
- Educational Technology Research and Development (ETR&D)
- Interactive Learning Environments
- Instructional Science
- Learning and Instruction
日本の主要学会・研究会
日本語圏で 教育・学習支援システム研究 にあたる仕事をやっているコミュニティを、本書の主題に近い順に整理しておきます。学部生・大学院生のあなたが「研究室の外で同じ関心の人に会いたい」と思ったときの最初の入り口に使ってください。
学会と、その下の研究会
- 人工知能学会 (JSAI)
- 先進的学習科学と工学研究会 (SIG-ALST) ―AI・認知科学・教育を結ぶ第一線の発表が集まる研究会。
- 教育システム情報学会 (JSiSE)
- SIG-認知スキーマ・学習活動モデリング (SIG-SLAM) ―名前のとおり、認知のスキーマを表現し学習活動をモデリングするという、本書の主題そのものを扱う研究会。
- 電子情報通信学会 (IEICE)
- 教育工学研究会 (ET) ―電子情報通信側からの教育工学研究の場。
- 日本教育工学会 (JSET) ―教育工学全般を扱う最大規模の学会。
- 日本認知科学会 ―認知科学全般。学習と認知に関するセッションあり。
若手・勉強会
- 教育・学習支援システム若手の会 (yelss) ―著者も運営に関わっている、所属研究室の枠を越えた若手研究者の集まり。学部生・大学院生・若手教員が中心。
- CALST (Co-study Group on Advanced Learning Science and Technology) ―人工知能・知識工学・学習工学・学習科学・認知心理学・認知科学にまたがる、若手研究者と学生のための 協働かつ融合的な研究会。週 1〜隔週でオンラインで 2 時間ほど集まり、個人の研究発表、関連書籍や論文の輪読、学会発表練習、研究室運営の共有といった内容を扱います。所属を越えた 「第二のゼミ」 として機能していて、「言い訳なしの深い議論」を旨としています。
学会本体の年次大会では幅が広すぎて自分の関心に近い人を探しにくい、という場合、SIG-ALST、SIG-SLAM、ET といった研究会、そして yelss のような若手向けの場や、CALST のような少人数の協働研究会のほうが、最初の足がかりになりやすいと思います。
オープンアクセスリソース
arXiv
- URL:https://arxiv.org/
- カテゴリ:cs.CY (Computers and Society), cs.AI, cs.LG などが関連します。
- 特徴:プレプリントサーバーです。最新研究が査読前に公開されます。
教育データセット
- PSLC DataShop:Learning curve 分析のための大規模学習データを公開しています。 https://pslcdatashop.web.cmu.edu/
- EdNet:韓国発の大規模教育データセットです。 https://github.com/riiid/ednet
研究者コミュニティ
- International AIED Society:AIED 研究者の国際ネットワークです。 https://iaied.org/
- Society for Learning Analytics Research (SoLAR):LA 研究者のコミュニティです。 https://www.solaresearch.org/
- International Society of the Learning Sciences (ISLS):学習科学のコミュニティです。 https://www.isls.org/
研究を始めるときは、これらの会議・ジャーナルの過去論文に目を通し、コミュニティに参加してみることをお勧めします。実際に発表や聴講に足を運んでみると、紙の上だけでは見えない議論の温度感が掴めるはずです。